任意整理の専門用語 和解案

任意整理というのは当事者間の話し合いなので、まずは話し合いの道筋をつけていく必要があります。要は交渉を持ちかける借り手側の要望を出して、それに対して貸し手側である金融業者にOKを出してもらうという流れです。この「OKを出す」ということを通じて借金問題は解決に向かうので、これを法律用語で和解と言います。

では、任意整理の和解をどんな落としどころでつけていくのか。それを書面にしたものを和解案と言います。これはもちろん、任意整理を依頼した弁護士や法律事務所などが作成するもので、その時点での任意整理で相場になっている落としどころを考慮しながら作成されます。

こうしてできあがった和解案を債権者である金融業者に提示します。それに対してOKが出れば和解成立となり、任意整理は一気に解決に向かいます。後は提示した和解案の通りに返済していくという流れになりますが、この和解案に対して金融業者がOKを出さないこともあります。

こうなったら交渉となるので、代理人である弁護士は金融業者と落としどころについての細かい詰めの協議を行い、そこから導き出された和解案を改めて提示します。ここで出される和解案は当初のものより金融業者の意向を汲んだものになるので、今度は依頼人である債務者が納得できるものであるかどうかという判断になります。

任意整理の専門用語 みなし弁済

前の記事に続いて、過払い金についての追加情報です。

出資法と利息制限法、2つの法律の間にある法律上も判断が曖昧だった金利は、やがて「グレーゾーン金利」と呼ばれるようになり、一部では任意整理の際にグレーゾーン金利に対する返還請求が行われるようになってきました。

しかし、ここで「はい、そうですか」と言うはずがないのが消費者金融です。かつては高利貸しやサラ金と呼ばれ、暴力的な取り立てで恐れられた業種でもあり、過去に払いすぎた利息があるからと言ってそう簡単に返還に応じるとは思えません。

この時に、金融業者が反論の時に持ち出すのが「みなし弁済」です。利息制限法の規定を超えた高金利であっても、それをちゃんと書面にして提示し、借り手も納得の上でサインをしてお金を借りているという関係が成立しているので、そこにはみなし弁済という関係が成り立ち、無効ではないというわけです。つまり、本人が納得して支払ってきているのに、後になってそれが無効であると蒸し返されても納得できないということです。

確かにこうした金融業者の言い分にも一理あるように思います。現に契約書も存在しているわけですし、過払い金の問題が表面化するまでは異を唱える人もほとんどいなかったのですから。

任意整理の専門用語 過払い金

金利引き直しについて解説した記事でも触れましたが、消費者金融などの貸付金に対する上限金利というのは2つの法律で違う解釈があるという状態が続いてきました。

この法律についてさらに詳しく解説しましょう。1つ目の法律は、利息制限法です。法律の名称を見ても上限金利などを規制するために設けられていることが一目瞭然です。利息制限法によると10万円以下借金での上限金利が20%であるのを筆頭に、後は借金の金額に応じて徐々に低くなるように規制されています。

しかし、この利息制限法には罰則がありません。そのため金融業者をこの法律を無視し、もう1つの法律、出資法(罰則あり)に従う形で金利設定が行われてきました。出資法というのは本来、消費者金融などの貸し付けを想定した法律ではありませんが、上限金利が29.2%と定められているので、こちらを守っていれば大丈夫という“常識”がまかり通っていたのです。

しかし、最高裁判所がこの“常識”を認めないという判決を出し、それが確定すると利息制限法の規定を超えている金利は全て無効ということになり、過去のものであっても払いすぎた利息が発生しました。これを「過払い金」と呼び、全国各地でこの過払い金に対する返還請求が行われているのです。

任意整理の専門用語 金利引き直し

任意整理には色々と専門的な用語が頻繁に登場します。それらの専門用語を、個別に解説していきましょう。ここでは「金利引き直し」です。

金利というのは依頼人である債務者がしている借金に対する金利のことです。金融業者が設定してこれまで回収してきた金利が違法に高い可能性があるので、合法的な金利で借りていた場合を想定して返済状況などを再計算することを金利引き直しと言います。

金融業者の金利が違法に高い?金利については法律で上限が決められているはずなのになぜ?こういう疑問をお感じになる方も多いでしょう。それでは、ここで金利引き直しが必要になるメカニズムを解説します。

現在はもうありませんが、かつて消費者金融などの貸し付けに対する上限金利を定めている法律が2つありました。いえ、厳密に言うと1つしかないのですが、その1つについて罰則がなかったため、事実上無視されてきました。そして、罰則のあるもう1つの法律が定めている上限金利に従う形で金利設定が行われてきました。

それぞれの上限を比べると、その差は9.2%。約1割もの差があるので、借金の金額や期間によってはその差額がどんどん大きくなります。

任意整理の際には、この9.2%もある金利差について、まずは是正をしてから正しい借金の金額を算出するために金利の引き直しが行われるのです。

何のためにある?任意整理

そもそも任意整理とは、どういった目的のために生まれたのでしょうか。「生まれた」と言っても自己破産や個人再生のように、そのために法律が制定されたということではなく、単に借り手と貸し手が話し合って借金問題を解決するという作業に過ぎません。

多重債務の問題が社会問題になっていく中で、裁判所が関与しない債務整理というものに対するニーズが大きくなり、その結果として「当事者間で話し合って解決できるものは解決する」という考え方が生まれたのでしょう。なぜなら、裁判所が関与すると申立書の作成や裁判所の審尋など、ことあるごとに専門性の高い過程を経なければならず、どうしても手続きが複雑になってしまいます。

その点、任意整理というのは、自己破産をされてしまって借金を1円も回収できないという事態を避けたい貸し手側と、できるだけ穏便に借金問題を解決したい借り手側の思惑が一致しています。

もちろん、任意整理の交渉というのは一筋縄ではいきません。過払い金の算出方法や返還そのものについても争いが起きることも少なくありませんし、弁護士が提示した和解案に全く応じてくれない金融業者もいます。先方も商売なので、一筋縄ではいかないというのも当然でしょう。

しかし、そんな中でも妥協点を見出していくのが弁護士の仕事であり、存在意義であるとも言えるでしょう。

任意整理の概略

任意整理の知識箱と題したこのサイトでは、任意整理についてのちょっと専門的な知識をしっかりと解説していきたいと思います。その前に、まずは任意整理という債務整理の方法や仕組みについての概略をおさらいしましょう。

借金の返済に困った人が取るべき債務整理には、いくつかの方法があります。最も有名なのは自己破産で、経済活動を一度リセットすることで借金をゼロにする方法です。その他にも個人再生や特定調停など、裁判所を介することで債務整理を進める手続きがあります。

このサイトのテーマとなっている任意整理というのは、他の債務整理と違って裁判所が関与することはありません。借金をしている人と、お金を貸している側の双方が話し合うことで合意を目指し、合意を成立させることができれば、その合意内容に従って返済をしていくというものです。

実際の任意整理の現場においては、まず金利をストップし、借金元本については過払い金がないかどうかを再計算した上で、もし過払い金があれば(ほとんどの場合はあります)、その分を元本返済に充当し、結果として元本を減額します。後は、減額後の元本を3年くらいで分割払いしていくというのが一般的な解決パターンです。